猫の世界にそびえ立つ「ニャージアム」。
そこは、猫による、猫のための、美しい美術館だった。
しかし、その館にはもう一つの顔があった。
――大厄災をもたらすという龍を封じ込める、結界の要。 ある時、封印は何者かの手によって解き放たれる。
その瞬間、加護を帯びていた美術品は館内に散り散りとなり、封印を失った龍が再び目を覚まそうとしていた。 偶然居合わせたあなたたちは、困り果てた猫たちに懇願され、再封印の儀式に挑むことになる。
この美術館に伝わる封印術は、必ず正しい色を揃えねばならない。
「赤」「青」「黄」「緑」――4つの色を、混じり気のないひとりの力で揃えてこそ、術は完成する。
だが、美術品は強い魔力を帯びており、不用意に扱えば術者の命を削る。失敗は一度だけしか許されない。二度目の失敗は、容赦なく術者の命を奪う。まさに命がけの封印。
さらに、猫の王国には、英雄を一人だけ選び讃える伝統があった。封印を果たした者の名は"真の英雄"として歌となり、永遠に猫たちの歴史に刻まれる。そのため必然的に、龍の復活が刻一刻と迫る中、封印の儀式は静かに、しかし熾烈な競争の舞台へと変貌を遂げるのだった。
そして、封印を解き放った犯人は誰なのか…。
けれど――誰も気づいていなかった。
この美術館に伝わる“封印術”は、もともと
龍を縛るための術ではなく、龍と世界の調和を保つための儀式だったことに。
長い時の中で塗り替えられた記憶のせいで、
その本来の目的を知る者は、今の猫たちにはほぼひとりも残っていなかった。
封印は、完成した。
龍の鼓動は静まり、館にふたたび静けさが戻る──はずだった。